ホームページ制作の依頼を受けたとき、最初にヒアリングで、どんな仕事なのかについてお聞きしますが、そのとき返ってくる答えのほとんどは、
☑ 自社の商品・サービス・技術の内容・特徴について
☑ それらはどんな良さがあるのか
☑ 他の競合商品とどう違うのか、差別化のポイント
などの話が主体で、これらが発想の前提となっています。
つまり売り手の商品・サービス・技術の「特徴」の話
これはホームページ制作だけの話ではなく、顧客新規開拓、ルートセールス、店頭での接客など、営業トークの全てがこの発想です。
これを読んでいるあなたは、「それは常識だろう?」と思うことでしょう。
そう、常識です。
またこれは、仕事に対する意識も同じです。
「あなたの仕事は何ですか?」
「私の仕事は、医薬品ルートセールスです」「飲食店です」「建設業です」「エステ店です」「デザイナーです」「食品卸業です」「エンジニアです」・・・・
お客様が買うもの
しかしお客様は、そのような、商品・サービス・技術を買うのでしょうか?
それを買うと、結果、自分はどう変わるか?、どんなメリットがあるか?、自分の問題を解決してくれるのか?、お客様はそれしか考えていないはずです。
これをベネフィットといいます。
あなたが商品・サービスを買うときも同じでしょう?
売り手は「モノ」を売る、買い手は「ベネフィット」を買う。
「工場では化粧品を作っているが、店舗では希望を売っている」と言うのは、アメリカの化粧品会社レブロンの社長の言葉です。
店頭で販売員から商品説明を受ける時、あるいは、会社に取引先セールスが来て、商談をする時、ほとんどが、自社商品・サービス・技術の、「特徴」「良さ」ばかりを説明します。
それを聞きながら、こちら(買い手)は、頭の中で、自分にとってどうなのか?、買ったら自分はどう変わるか?、「結果」を一生懸命想像します。
イメージできる内容ならいいですが、それができないと、拒絶が始まります。
「検討します」・・・断り文句です。
ならば、お客様のベネフィットを語ってあげましょう。
自分にベネフィットがあれば、買う気になります。
自分にとってのベネフィットとは
しかし、お客様ベネフィットとは、お客様ごとに異なるものです。ましてや、売り手が勝手に想像しても、分らないでしょう。
お客様に聞いてみなくては。
私は若いころ、全国展開の家電量販店に勤務していました。
そこで、会社トップが語った言葉は、
「当社の強みは無料配達や修理などのサービスだ」
「競合対策のため、非効率な小型店を閉鎖する」
とのことでした。
しかし、あるところで聞いた一般の人の当社へのイメージは、
「あの会社は、どこでも店があるから安心、助かっています」
とのことでした。
自分で勝手に想像した強みやベネフィットは、お客様とは全くずれていたのでした。
案の上、お客様にとって、「安心で助かっている」小型店はどんどん閉鎖され、お客様ベネフィットを失っていき、次第に会社は衰退していきました。
しかし、別のお客様にとってのベネフィットはまた違っていたでしょう。
だから、ベネフィットについて大量にお客様リサーチをして、数の多いものを優先して採用しなくてはなりません。
もちろん、ベネフィットに合わせて、経営方針を調整することも重要課題です。
ホームページを作るということは、それから後のことでしょう。