私は昔、地場の家電量販店に勤務していたことがあります。
昔は競争相手も少なく、順調に業績を伸ばしておりました。

しかし、ほどなくして、関東の大型家電量販店が次々に進出してきて、圧倒的な品揃えと価格の安さで、苦戦を強いられ、どんどんシェアを奪われていきました。

そうなると全社挙げて、それら競争相手ばかりが気になってきます。
「あの商品はウチより3万円安かった。この商品は2万5千円安い。」
「パソコンの品揃えはウチの倍ある。」
「販売員の数も多い。メーカーの応援も半端ない。」

そんなことばかりが気になるので、お客様にもそれが伝わるのか、ノートに一覧表を作り、それを見せながら、「あそこはお宅よりこの機種は4万円安いよ、もっと安くならないの?」
などと天秤にかけられるようになっていきます。本社からの売上の圧力は日ごと増すばかりだし、ついつい安くしてしまい、利益が取れなくなってしまう。
価格競争の消耗戦に陥ってきました。

そんな時、別のところで、一般の人たちと自分の会社名は告げずに雑談をしている時のことでした。
「○○社(私の会社)の店員さんは、みんな親切だよね。この前もパソコンの説明を一生懸命やってくれたし、冷蔵庫買った時は、配達の方が親切だったよ。壊れた時の修理も丁寧にやってくれるし。」
「それに比べて△△社(競争相手)の店員さんは対応が悪いわ。」

そして思わぬことを言われました。
「○○社(私の会社)の店は郊外にも、小さいけどたくさん店があるから、助かるわ。」
「この前も炊飯器が壊れた時、近くの店に持ち込むと、修理でお預かりとなったんだけど、その間別の炊飯器を貸し出してくれて、助かったわ。近くにあるから助かるわ。」

それなのに、本社の幹部社員は、競争相手を気にするあまり、それに合わせようとして、小さい店を次々と閉鎖していったのでした。そして次第に衰退していきました。

買ってくれるのはお客様です。競争相手が買ってくれるのではありません。
それなのに競争相手ばかり気にしていると、自分の強みに気がつかなくなり、相手の術にはまってしまい、身を滅ぼす。

これって、他の業界にも同じことが言えないでしょうか?
そして、もしかしてあなたの会社もそんなことになっていませんか?

お客様こそが利益の源泉

☑ 競争が激しくなると、競争相手ばかりが気になり、肝心のお客様のことを忘れてしまいます。

☑ ホームページを作ろうとすると、自社の商品やサービスの特徴ばかりを書こうとします。

☑ 店頭での接客や、営業でのプレゼンでも、自社商品・サービスの特徴ばかりを語ります。

この3つのパターン全てに言えることは、お客様主体の発想の欠如です。

これを克服するには、お客様リサーチしかありません。

売るための全ての準備をマーケティングといいますが、マーケティングの出発点は、お客様リサーチです。

自社の大切なお得意様に、自社のどこがいいのか、お客様にとってのメリットは何なのか?(ベネフィット)、また、自社が改善すべき点は何か?

こんなお客様リサーチを絶えず続けていくしかありません。たとえそのために経費がかかるとしても、やるべきです。往々にしてそんな経費は掛けないという会社は多いように思います。

競合との価格競争で、利益を失くしても、お客様リサーチの経費は掛けようとしない。

あなたの会社はどうですか?